家の床暖房について

2011/09/16

快適なマイホームづくりに、快適な冷暖房設備は必要不可欠です。イニシャルコストとランニングコストをつき合わせ、限られた予算のなかで快適に過ごすために、多くの方が「床暖房」の設置が可能か考えるのではないでしょうか。

「床暖房」とはどんなものなのでしょうか。また、どんなものがあるのでしょう。「床暖房」は文字通り、床を暖めて、床面からの熱の輻射(ふくしゃ)、伝導、対流で部屋や家を暖める暖房です。空気が乾燥せず、入れ換えも必要ありません。

風が当たらないので、ホコリが舞うこともなく、ぜんそくやアレルギーのある方でも安心して利用できます。床面は常に20度~30度程度と高すぎない温度なので、顔だけが火照るということもありません。

床面にストーブやファンヒーターなどの暖房器具を置かなくていいので、乳幼児がいても安心ですし、床面を広く使え、見た目もすっきりします。しかし、スイッチを入れてから暖房効果が現れるまでに時間がかかるので、最初だけ補助暖房が必要かもしれません。タイマー機能をつけたり、連続稼働をさせるなど、工夫が必要でしょう。「床暖房」は主に「電気式」と「温水式」に分けられます。「電気式」は発熱体(や蓄熱体)を床下に設置、これに通電して部屋や家を暖めます。

「温水式」は外部の熱源で温水をつくり、その温水を床下にめぐらせた配管に通して部屋を暖めます。熱源には電気、ガス、灯油が使われます。これらの方法の組み合わせや設備の違いなどで、現在販売されている「床暖房」の種類は、約100種類くらいあると言われています。

「床暖房」を設置するには、床下全体に発熱体(蓄熱体)や配管などの施行が必要なので、基礎工事からの導入が必要です。必然的にイニシャルコストは高くなりますが、現在は深夜電力を有効に使ったり、設備機器の開発も進み熱効率もよくなってきていますので、その後のランニングコストは、従来の暖房方法と比較しても、充分検討の余地があるでしょう。

マイホーム完成後に「床暖房」を導入しようとすると、新築時の倍以上の設置コストがかかると言われています。また一度施行したら、簡単に入れ替えや取り外しはできません。「床暖房」の種類とコストを十分に比較して、生活スタイルに見合ったものを選びましょう。

マイホームの維持管理費用

2011/09/14

マイホームを企画設計、建築してから、寿命になって解体するまでにかかる費用を「生涯コスト」または「ライフサイクルコスト」といいます。

「ライフサイクルコスト」は、さらに「イニシャルコスト」と「ランニングコスト」に大別されます。「イニシャルコスト」とは初期投資費用のことで、マイホーム建築ですと設計費や建築工事費、住宅設備費、外構(排水や造園などの外回り)工事にかかるコストのことです。

「ランニングコスト」とは、マイホーム完成後、維持や管理に必要な費用のことで、月々の光熱費や修理代などに必要なコストのことです。予算が限られているなかでマイホームを建てるときに、建築費用を抑えるためにおのずと「イニシャルコスト」を意識すると思います。

窓の大きさや位置、数は家の中の通気や採光に影響が出てきます。のちの光熱費や冷暖房費など「ランニングコスト」にも関わってくるので、注意して設計をしたいところです。また光熱費の「ランニングコスト」を抑えるために、「太陽光発電」や「オール電化」の設備を導入することも、ひとつの選択肢です。

「太陽光発電」は余った電力を電力会社が買い取る制度や、自治体によっては設置のための助成制度があるので、普及がすすんでいますね。またメーカー各社が出しているので選ぶ際は必ず比較検討しましょう。ただ設置費(イニシャルコスト)も200万円~ほどかかってしまいますので、ご自分の生活スタイル、居住する土地の気候風土、優先順位など、よく検討しましょう。

「オール電化」は深夜電力を有効に使って給湯などができるので、「ランニングコスト」を節約することができます。お風呂や台所、冷暖房設備なども電気で統一することで節約をするので、一部にガスなど別の熱源を使うと経済的な硬化は薄くなるようです。設置費(イニシャルコスト)は30万円~ほどですが、故障や災害時の停電などがあると、すべてが使えなくなってしまうので、非常に弱い部分もあると認識しておきましょう。

「イニシャルコスト」を抑えるあまり、快適で機能的な設備を入れられずに、返って入居後の生活が不便になってしまうようでは、せっかくのマイホームを建てた意味がなくなってしまいます。どんな設備でどのような豊かさが得られるのか、イメージすることが大切です。

マイホーム-軒(のき)と庇(ひさし)

2011/09/07

マイホームのデザインを考えるとき、「軒(のき)」と「庇(ひさし)」を重要に考えるでしょうか。最近の現代的な住宅デザインには、軒を出さないタイプが多いようです。

「軒」とは、屋根の外壁から出ている部分、屋根の延長です。「庇」は、窓などの開口部の上に取り付けられる小型の屋根のことです。日本の木造建築には欠かせないと思われる「軒」と「庇」には、どんな役割があるのでしょうか。

実は「軒」と「庇」には、建物を守る大切な役割があります。まず雨の影響を少なくしています。
雨が降った場合、「軒」や「庇」がある建物は、外壁が濡れているのは壁のおよそ半分から下の部分です。窓に直接雨がかかるようなことはなく、窓回りはそれほど濡れません。屋根と壁の間、サッシと壁の間に雨が入るようなことも少なく、雨や雨漏りによる建材の劣化も防ぎます。

それに少々の雨でも「庇」があれば窓を開けることも可能ですね。また、夏の強い日差しの場合、太陽が高いので「軒」や「庇」が日よけの役割をしてくれます。部屋のなかも涼しく、外壁に「軒」や「庇」の影が落ちるので直射による劣化予防にもなります。しかし「軒」や「庇」がないと、どうでしょうか。老朽化した建物を見ると、外壁の汚れやひび割れ、窓回りのシーリング材の硬化や汚れなども、「軒」と「庇」の有無による差は、歴然なのだとか。大雨の後、屋根や窓から外壁に流れる雨の跡がかなり目立つこともあります。またサッシから雨漏りは「庇」のない住宅に多いそうです。

土地がせまい、隣の家が近い、など建築設計上の問題もあるようですが、専門家によると「軒」が30センチでも、「庇」が10センチでも、あったほうがいいそうです。日本の伝統建築には立派な「軒」や「庇」があります。風格や品格をだすというデザインだけではなく、建物を腐食や劣化から守るという重要な役割があったのです。日本の気候を考えれば、必要不可欠なデザインなのだと思います。

マイホーム建築の場合は、水や湿気が腐食の原因になるので、「軒」や「庇」のない住宅デザインにする場合は、かなり慎重に設計をしたほうがよいでしょう。