マイホーム-軒(のき)と庇(ひさし)

マイホームのデザインを考えるとき、「軒(のき)」と「庇(ひさし)」を重要に考えるでしょうか。最近の現代的な住宅デザインには、軒を出さないタイプが多いようです。

「軒」とは、屋根の外壁から出ている部分、屋根の延長です。「庇」は、窓などの開口部の上に取り付けられる小型の屋根のことです。日本の木造建築には欠かせないと思われる「軒」と「庇」には、どんな役割があるのでしょうか。

実は「軒」と「庇」には、建物を守る大切な役割があります。まず雨の影響を少なくしています。
雨が降った場合、「軒」や「庇」がある建物は、外壁が濡れているのは壁のおよそ半分から下の部分です。窓に直接雨がかかるようなことはなく、窓回りはそれほど濡れません。屋根と壁の間、サッシと壁の間に雨が入るようなことも少なく、雨や雨漏りによる建材の劣化も防ぎます。

それに少々の雨でも「庇」があれば窓を開けることも可能ですね。また、夏の強い日差しの場合、太陽が高いので「軒」や「庇」が日よけの役割をしてくれます。部屋のなかも涼しく、外壁に「軒」や「庇」の影が落ちるので直射による劣化予防にもなります。しかし「軒」や「庇」がないと、どうでしょうか。老朽化した建物を見ると、外壁の汚れやひび割れ、窓回りのシーリング材の硬化や汚れなども、「軒」と「庇」の有無による差は、歴然なのだとか。大雨の後、屋根や窓から外壁に流れる雨の跡がかなり目立つこともあります。またサッシから雨漏りは「庇」のない住宅に多いそうです。

土地がせまい、隣の家が近い、など建築設計上の問題もあるようですが、専門家によると「軒」が30センチでも、「庇」が10センチでも、あったほうがいいそうです。日本の伝統建築には立派な「軒」や「庇」があります。風格や品格をだすというデザインだけではなく、建物を腐食や劣化から守るという重要な役割があったのです。日本の気候を考えれば、必要不可欠なデザインなのだと思います。

マイホーム建築の場合は、水や湿気が腐食の原因になるので、「軒」や「庇」のない住宅デザインにする場合は、かなり慎重に設計をしたほうがよいでしょう。

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